くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質
こんにちは、ドマーニ日本橋の冨田です。
隈研吾さんの展示会『くまのもの』、開催終了間際でしたが(5月6日まで)
仕事終わりに(金曜日は20:00まで)見学に行ってきました。
まず入り口でインスタレーション作品の《つみき》を。
坂本龍一が代表を務めるNPO団体とのコラボ作品とのこと。
"世界の子供がもう一度木と親しくなってくれればいい
との思いでデザインした"と書かれています。
建築とは結局のところ物質である。
物質と人間の会話である。
物質が違うと会話の仕方も変わる、こちらの気分も大いに変わってくる。
・・・と隈さんの言葉にあるように、今回の展示は物質がキーワード。
展示も物質(素材)ごとに分けて展開されていました。
《ナンチャンナンチャン―竹》
韓国の光州デザインビエンナーレでのインスタレーション。
《浅草文化観光センター―木》
かつての東京を構成していた木造平屋建てを
8層重ねた中層ビルとのこと。
《香注―竹》
インスタレーション作品も展示されていました。
畳の香りに浸した竹ひごと竹ひごをつなぎ、
畳の香りを渦巻く効果を狙ったものとのこと。
《梼原 木橋ミュージアム―木》
《新国立競技場―木》
外観には周囲の木々に溶け込むよう杉の縦格子を、
観客席からも木のぬくもりが感じられる木材と鉄骨を組み合わせた部材を使用、
世界に誇れる日本らしいスタジアムの実現を目指しているそうです。
今年始めには、使用する木材を47都道府県から調達することも
発表されていましたね。完成がとても楽しみです。
《青海波―紙》
金属のエキスバンドメタルと同じように
紙に切れ込みを入れ伸ばすことによって出来るもの。
《ペーパーブリック―紙》
タマゴケースの技術の応用で、古新聞を紙製のブロックに。
《虫塚―土》
鎌倉にある建長寺の境内にある虫を供養するモニュメント。
養老孟司さんが標本にしてきた昆虫を供養するためにつくられたとのこと。
次第に苔むして周囲の景観に馴染むことを想定しているそうです。
《安養寺木造阿弥陀如来坐像収蔵施設―土》
朝鮮から伝えられたという日干し煉瓦ブロックを積み上げ
つくられています。
《石の博物館・ちょっ蔵広場―石》
大理石や大谷石を積み上げる建築物。
どちらの説明にも"軽やか"とか"透明感"という言葉が使われていて
石の重たいイメージすらも変えてしまうことに感嘆しました。
《ヴィクトリア&アルバートミュージアム―石》
イギリスのスコットランドにあるミュージアム。
荒々しい崖の地層からヒントを得て、プレキャストコンクリートを
隙間をあけて取り付け、陰影のあるファサードに。
《浮庵》
移動式の茶室。
塩ビ製の風船にヘリウムガスを注入し浮かべたものに
最軽量といわれるポリエステル繊維の布をかけてあります。
《WATER BRANCH HOUSE―樹脂》
唯一触ってもいい展示品でした。
ポリタンクからヒントを得てつくられたそう。
この中に温水や冷水を流すことで環境装置としての機能も。
《てっちゃん―樹脂》
廃材となったLANケーブルを再利用、
家具や照明器具、壁、天井などをやわらかくする試み。
後半はいよいよ時間がなく、ゆっくり見れずに残念・・・
これ以外にも、コンクリートや金属、ガラスなど
一般的によく使われる素材の紹介ももちろんありました。
ただ、隈さんといえば木のイメージがあり
そこをじっくりと拝見できてよかったです。
展示の最後に掲げられたコトバ。
継続は力、
反省や課題を延々と繰り返し、ステップを一段づつ登る、
大事にしたいと思います。