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ヨーロッパの暮らしは古い建物に囲まれています。私がデザイナーとして扱う建物も、築100年や200年は当たり前です。時代を経た建物は、プロポーションが完成されていて、美しい。何気なく目にする建物や街並みの美しさは、自分の意識や感覚のバランスを保つうえで、とても重要です。仕事でよく訪れる京都の古い家並みを見たとき、また、美しいアンティーク家具を見たときも同じ気持ちになります。多くのデザイナーのインスピレーションの源が、アンティークだったり古い建物だったりすることは、意外と知られていません。時を経て完成された美しさを見続けること、その中から自分のオリジナルを抽出することは、デザイナーとして重要なプロセスだと思います。
私にはもう一つ、デザインの源になるものがあります。それは、ふるさとの自然です。子ども頃の私は、山や田んぼが四季移ろう景色を眺めるのが何より好きでした。幸いロンドンではリージェンツパークとプリムローズヒルの隣に住み、犬の散歩で毎日、二つの公園を歩きます。犬の目線で地面を眺めたり、芝生に寝転んで空の大きさに包まれたり、四季の花々や木々の移り変わりを楽しんだり。小さな自然ですが、私にとっては宝物です。美しい建物と、小さな自然、その両方が、私にインスピレーションを与えてくれる。ロンドンは、そんな小さな毎日の幸せをくれる町です。 |
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スタジオ近くのRegents Park Road (リージェント・パーク・ロード)の
カフェで新聞を読む。
写真提供:NSDA |
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これまで何千何万とヨーロッパで家具を見てきて、幾度となく不満に思うことがありました。和のエッセンスを持つ空間をつくるときに、しっくり収まる家具が見つからないことです。 空間や生活は洋が基本になっても、日本人である私はやはり和の空気に包まれていたい。しかし洋の空間にあって、エレガントな和を表現できる家具はなかなか探せません。 ヨーロッパで日本風の家具というと、往々にして、直線的過ぎたり、素材感が立ちすぎたり、軽すぎたり、逆に重すぎたり。たとえば日本の書や文様の繊細なラインを思わせる家具があっても良いのではないか。その想いが、蓮夕のデザインテーマとなりました。 「西欧の空間が持つ質量感とプロポーションに沿い、空間の構成要因の一つとして、主張しすぎずに和の華やかさを支え、表現する家具。」そのインスピレーションの源は、書です。 幼い頃、祖父に教わった書道は、私に一本の線を見極める目を養ってくれました。そのラインは、そのまま蓮夕のラインのベースとなっています。蓮夕のデザインは、伸びやかな書のラインを洋のプロポーションに合わせることにより誕生しました。 |
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スタジオ近くのPrimrose Hill(プリムローズ・ヒル)にて |
写真提供:NSDA |
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